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平城京跡の地下に巨大なトンネルを掘る高速道路計画

 

 京都・奈良・和歌山を結ぶ「京奈和自動車道(全長約120km)」のうち、これまで事業化されていなかった大和北道路(奈良市―大和郡山市)の北半分(奈良北〜奈良インターチェンジの6.1km)について、今年度、国土交通省が約1億円の調査費用を計上。県も約18億円の関連事業費を計上し、2032年の開通を目指して新たに事業化されました。

 

 

「合併施工方式」で事業化に転じるも、膨大な費用負担に変わりなし

 

 同区間は、平城京跡の地下に巨大なトンネルを掘る計画であることから、1990年代〜2000年代にかけて「埋蔵文化財を守れ」「世界遺産を破壊するな」と反対世論が高まりました。また、大和北道路全体で約2900億円の費用負担のうち3分の1を県が負担することから、荒井知事は就任1期目の2010年に財政負担を理由に「新規事業化は要望しない」と断念を表明していました。

 ところが今回、建設費のほとんどを国や自治体が負担する「直轄方式」から、有料化を前提にNEXCO西日本(旧道路公団)が管理し工事費用の一部を負担する「合併施工方式」に改め、県の費用負担が2割ほど軽くなることをもって新規事業化に転じたものです。しかし、それでも県の費用負担は500億円を上回り、膨大な費用負担には変わりありません。

 

 

地下トンネルによる埋蔵文化財破壊

 

 最大の問題は、地下トンネルで埋蔵文化財が破壊されることです。国土交通省は「保全対象区域」を平城京跡全体ではなく平城宮跡に限定しました。長屋王木簡や二条大路木簡など貴重な成果のあった文化財は宮跡外から出土しており、これまでの出土品の7割以上が宮跡外から出土していることから、広域的な保全が不可欠です。また、豊富な地下水で守られている文化財ですが、現在行われている地下水のモニタリング調査には異常時の原因解明や保全策はとられておらず、実効性の保証がありません。

 

 

需要とかけ離れた交通予測

 

 2つめに、実際の交通需要と将来予測に乖離がある問題です。1999年の道路センサス(交通情勢調査)によると2020年には7万4千台と予測されていた1日あたり通過交通量が、実際には2015年センサスで5万5千台に減っており、今後さらに減少することが見込まれます。また、大型車などは有料区間を回避する傾向があります。大和北道路の有料化は、奈良市内・大和郡山市内の国道に通過交通を引き込み、渋滞を悪化させかねません。国道24号線の改良による渋滞解消こそ優先すべきです。

 

 

高速道路で企業立地が増えるとは限らない

 

 荒井知事は高速道路整備で企業立地が増えることを推進理由の1つに挙げますが、そもそもトンネル部分の6.1kmは企業が立地できません。また経済産業省が奈良県の立地企業21社に対し理由を問うたアンケートでは「本社や自社工場に近い」が10件だったのに対し、「高速道路を利用できる」は1件にとどまっています。高速道路と企業立地の相関性は低いと言えます。

 

 

財界主導の高速道路建設から、生活道路重視の道路行政への転換を

 

 荒井知事は3月の予算委員会で、今回の事業化の背景には関西財界からの強い要望があったことを明らかにしましたが、もっと県民の声に耳を傾けるべきです。世界遺産を破壊し、県民に膨大な費用負担を押しつけ、実際の需要とかけ離れた事業は見直し、国道の改良や生活道路の整備、地域公共交通の充実などに軸足を置いた道路行政への転換を求めて参りたいと思います。

 

 

カテゴリ:政策と主張 | 11:32 | comments(1) | - | - | - |
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| - | 2018/11/12 12:48 AM |
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