ハコモノ目立つ「肉付け」補正256億円
6月定例県議会には、3月に決定した骨格予算に4期目の当選を果たした荒井知事が「肉付け」する256億円の大型補正予算案が計上されました。県立高校や西和医療センターをはじめとする公的施設の耐震化予算など必要な予算も含まれますが、知事が公約で掲げたハコモノ建設や大型プロジェクトの調査費用などが際立ちます。
具体的には、五條市に建設予定の総合防災拠点に滑走路を建設する計画、桜井市のNAFIC(奈良食と農の魅力創造国際大学校)の新たな賑わいづくりやセミナーハウスの建設、奈良市中町の駐車場へ道の駅建設計画策定、平城宮跡周辺の渋滞対策の検討と近鉄線の移設に関する調査・検討費用などです。
防災施設に2キロメートル滑走路など―県民的合意のない開発計画は許されない
議会最終日、山村幸穂議員が日本共産党を代表して反対討論。五條市への滑走路計画について「なぜ突然、2kmの滑走路が必要となったのか」「わが党は総合防災拠点整備と消防学校の建替えは、自衛隊誘致とセットではなく先行するよう求めてきたが、巨大地震の危険が迫る今、滑走路併設計画は白紙にして、早急なる整備を求める」と述べました。
「新しい阪奈和新幹線」構想!?―人口減少社会に見合った社会資本整備を
また、和歌山県橋本市・五條市・大和高田市などを経由し、リニア中央新幹線中間駅(奈良市付近に設置予定)と関西国際空港を結ぶ「新しい新幹線」構想について、「案はどこからでてきたのか。たとえ技術的に可能であっても必要性がどこにあるのか、県民の理解は得られない」と述べました。
荒井知事は記者会見で「難しいチャレンジだが、需要や工事費を検討し実現可能性を探っていきたい」と意欲を示しますが、リニア中央新幹線の東京−大阪間全線開業は2037年とされ、「新しい新幹線」開通は実現しても18年以上先となります。
買い物や通院に便利な公共交通の活性化など、人口減少社会に見合った社会資本整備が必要ではないでしょうか。